金麦を飲む

無職になったので、日記をつけようと思います。

無職日記 7日目

今日は6時台に起きて、何度か寝て起きてを繰り返して、結局8時半くらいに起きた。

お腹が空いてないまま冷蔵庫を開けて、豆腐を食べようかと思ったけど、やめてりんごジュースを飲んで煙草を吸った。

なんとなく、起きた朝の感じが昨日よりもマシだ。


10時頃、西友に証明写真を撮りに行った。

美白効果とかいうふざけた(しかしありがたい)機能が付いていたせいか、1シート900円もした。「美白効果は男性にもお勧めです!」って、だったらもうデフォルトにしろよと思う。要は明るい印象になるってことだろう。

証明写真用に、白いブラウスを着ようと思った。ら、白いシャツがあったので、そちらにした。

古書店で働いていた頃にお客さんからもらった、タキシード用か何かの、だいぶ大きいサイズのシャツ。おそらくその家の亡くなったご主人のものだと思う。


それを着て、写真を撮って、帰って別の服に着替えて履歴書に貼って、次の仕事に向けた面談へ行った。

相手は25歳だった。


暑いですね、なんていう会話から、何駅から来たかという質問になり、なぜか嘘を答えてしまう。

本当は一番近い地下鉄の駅から5分くらい歩いて来たのに、少し遠いJRの駅から15分ほど歩いて来たという、自分でも意図がつかめない嘘をついた。

まさかタフネスを売りにしたいのか?と思い、相手に悟られないようコンマ2秒くらいだけヘコんだ。こういう、全く無益な嘘をついてしまうことがままある。


25歳の薄緑Tシャツを着た男性は、やや緊張したアラサー(私)を前に「ラフティングって知ってます?」と唐突に聞いた。アイスブレイクというやつだなーと思った。前職でなぜか一時期、営業として一人立ちするように仕込まれ(かけ)たことがあり、その時に教えられた。本題へと移る前にまずは相手の心を溶かす、話術というか作法というか。場所、天気、目に入ったインテリアやPCのシール。内容はなんでもいい。


ラフティングを知ってるかという質問に対して「あ、はい、川下りの、カヌーとかの」と答えながら、私の気持ちは相手の目的から少しずれたところにいた。

19歳の頃、ラフティングやらカヌーやらの好きな子が身近にいた。アクティブなことが好きなわりにはポジティブな人間でもなく、人間として欠陥があると自分で言っていたし、私もそうだと思ったし、周りもそうだと思っていた。それでもみんなその子のことが好きだった。酒で身を崩すぞとみんなに心配されていた。多いに欠陥があり、多いに魅力的な子だった。


面談の最後に、いつ合否の連絡をくれるのか質問した。

採用であれば一週間以内に、不採用であれば連絡はないとのこと。

不採用であれば連絡しないって、よくあるけれども、考えるほどになんて理不尽なんだと思う。こっちは手書きで履歴書書いてんだよと、手書きで用意してるからには数時間かかってんだよと思う。会って話してみないと分からないことだらけなのはあちらもこちらも一緒なのだから、結果がどうあれ連絡するくらいのコストは支払うべきだ。

などと思いながら、そんなことは少しも表情には出さず、帰ってきた。くだらない嘘のつじつまを合わせるように、少し遠いJRの駅まで歩いた。


帰り道、携帯のYahoo災害アプリで豪雨の予報が届き、こんなにも晴天なのにと思いながら早足で帰宅すると、すぐにひどい夕立ちがやってきて、家の中の素晴らしい安全さに思いを馳せた。

世の中なんてやっぱりろくなもんじゃなさそうだと思いながら、餃子を焼いて食べた。